スタッフインタビュー
依存症看護が教えてくれたこと
つらいと感じるのは自分の課題だった
私が依存症看護をしていて初めに感じたのは、再飲酒や再入院率の高さでした。入院中にどれだけ一生懸命、ケアをしたとしても、再飲酒や再入院が後をたたず無力感がありましたが、病棟からデイケアに移動して視野が広がり、見えるものが違ってきました。実は自分自身が相手をコントロールしようとする欲求(○○のようになってもらいたいという思い)があって、それが、つらさにつながっているのではないかと考えるようになり、自分も人生に向き合う1人の当事者であるという事実に気付きました。
12ステップと自己成長
その事実に気づいたとき、12ステップの言葉が浮かんできました。12ステップとは、アルコールを始めとした依存症に対する回復の方法として広く知られているステップです。プログラムの1つ目に「私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた」という言葉があります。この言葉から「相手をコントロールすることはできない、その無力を認めよう」と、今の自分とリンクしました。もちろん、すぐ行動に結びついたわけではないのですが、つらくなるたびにこの言葉に戻ることで、仕事もプライベートも少しずつ楽になっていきました。依存症看護を通じて、「相手を変えるよりも、自分が変わることの方が物事は速やかに解決に向かい、成長速度も速くなるんだ」と実感しています。
訪問看護でも依存症を
僕が訪問看護に興味を持ったのは、デイケアに通っていた利用者さんが音信不通になって、自宅に安否確認のために訪問したことがきっかけでした。タバコで変色した壁、すり減った畳に「ぺしゃんこ」のせんべい布団、枕元に無数に転がるワンカップ。部屋の様子は驚きよりも想像に近かったというのが正直な感想でした。そんな利用者さんの生活環境にお邪魔して膝を突き合わせてじっくりと話をしたその数日後、何事もなかったようにデイケアに通所してきました。家に行く支援の可能性を感じました。ですが、依頼しようとしても依存症看護に強いといわれる訪問看護ステーションがなかったので、徐々に自分がやってみようという気持ちになり、東京支店を開設しました。
「精神科訪問看護」と「依存症看護」と「生きること」
訪問看護を始めてみると、依存症看護との共通点がたくさん見つかりました。精神科訪問看護も依存症看護も、自分と向き合って、知って、コントロールしながら生活を組み立てていくという部分が共通していました。そして私は、依存症看護を通して、精神科訪問看護を通して、自分の成長を実感し、生きることがとっても楽になっています。これは、精神科訪問看護と依存症看護が「生きること」に深く関係しているということを、身をもって経験したということだと感じています。
未来の仲間へのメッセージ
私は地域という利用者さんの人生に寄り添うことが出来るフィールドに出て、初めて「看護」と「生きる」がつながりました。看護と生きるがつながって、生きるのが楽しくなりました。仕事を通して自分の成長を感じ、人生が楽しくなる、そんな看護を一緒にしていきませんか?