2026年8月4日、社会福祉法人川崎市社会福祉協議会様からのご依頼で当事業所の小瀬古が「精神疾患のある人を支援困難にしない基本スキル」をテーマに講義を行いました。
対人支援の現場では「どう対応していいかわからない」「良かれと思って対応した結果、関係性が崩れてしまった」という困りごとが絶えません。今回の講義の冒頭では、支援困難に至るプロセスとその構造について解説しました。
支援困難を生む3つの罠
1. 制度と生活のギャップ(解決志向の罠)
支援者が「正論」や効率的な解決策を急いで提案すると、トラウマや不安を抱える利用者さまは「自分の生活を脅かす攻撃」と捉えてしまうことがあります。その結果、身を守るための防衛的な拒絶や暴言へと発展します。
2. 境界線(バウンダリー)の崩壊
善意からの「特別扱い」や過剰な対応は、要求のエスカレートを生みやすくなります。限界を迎えた支援者が突然引き払うことで、強い怒りや不信感へと反転してしまう悪循環に陥ります。
3. 「1人サピエンス状態」(主担当制が生む孤立)
担当者が1人で悩みを抱え込み、周囲に相談できないまま精神的な限界を迎えてしまう状態です。孤立した支援は、問題の長期化・深刻化を招きます。
支援困難の多くは、支援者個人のスキル不足ではなく構造的な要因によって引き起こされます。
仕組みと心理プロセスを正しく理解することが、安定した支援関係を築く第一歩です。
今後も現場の支援者が孤立せず、安心して利用者さまと向き合える実践的な知見を発信してまいります。