【研修会登壇報告】埼玉県訪問看護ステーション協会にて講師を務めました
2026年6月20日、埼玉県訪問看護ステーション協会が主催する「精神科訪問看護の算定に係る研修会」にて、当事業所の小瀬古が講師として一コマを担当させていただきました。
今回の研修では、精神科訪問看護における実践的な算定の知識だけでなく、日々の訪問の根幹となる「利用者様との関係性」に焦点を当ててお話しいたしました。
関係性は「警戒」から始まる
精神科訪問看護に限らず、すべての支援関係において、始まりは決して平坦ではありません。最初の出会いにおいて、利用者様が私たち医療者に抱く最初の感情は、多くの場合「警戒」です。
まずはこの「警戒から始まる」という前提に立ち、時間をかけて関係性を進めていくことが大切です。
支援関係に潜む「権威勾配」とその影響
支援の現場では、意図せずとも「権威勾配(立場の上下関係)」が生じやすくなります。
- 訪問看護: 看護師(支援を提供する側)と 利用者様(支援を受ける側)
- 外来診療: 医師(医療を提供する側)と 患者様(医療を受ける側)
このように、支援を受ける側がどうしても「施しを受ける」立場になりやすいため、医療者がどれだけ対等な関係を目指していても、完全に権威勾配をなくすことは困難だということを医療者側が理解し、どのようにして水平にしていくかを考えることが重要です。
【権威勾配がもたらす影響】
この力の差があることで、利用者様の「本当の声」が支援者に届かなくなることがあります。「なぜ私の事情を理解してくれないのか」という利用者様の憤りの背景には、これまでその声が十分に受け止められてこなかった歴史があります。言葉として表に出てこない思いや、関係性の中で無意識に抑え込まれた意見があることを、私たち支援者は常に認識しておかなければなりません。
パワーを持つ側が、意識的に「言葉の使い方」を調整する
対話の場を安全に開き、利用者様が安心して本音を話せるようにするためには、関係性をできる限りフラットにすることが重要です。
医療者が意識せずに発した一言でも、利用者様にとっては非常に重く受け止められてしまうことがあります。だからこそ、パワーを持つ側(医療者・支援者)が、以下のような姿勢を持つことが欠かせません。
- ✔ 自身の権威性を自覚すること
- ✔ その権威性が相手に与える影響を理解すること
- ✔ 相手の状況や心理に合わせ、言葉を慎重に選択・調整すること
おわりに
今回の研修会を通じ、参加された地域の訪問看護師の皆さまと共に、日々の関わりを振り返る貴重な時間を過ごすことができました。
私たちはこれからも、単に制度を遵守するだけでなく、利用者様の「言葉にならない思い」に耳を傾け、より安心できる訪問看護を届けてまいります。
研修会を企画・運営してくださった埼玉県訪問看護ステーション協会の皆さま、
そしてご参加いただいた受講者の皆さま、本当にありがとうございました。