こころの科学5月号に「家族を介護する人のこころとかかわり」が掲載

訪問看護ステーションみのりの小瀬古伸幸です

この度、雑誌『こころの科学』5月号(日本評論社)に、私の執筆した原稿「家族を介護する人のこころとかかわり」が掲載されましたのでお知らせいたします

日々の臨床や訪問看護の現場で、介護に携わるご家族と向き合うなかで感じてきた「家族ゆえの苦しみ」とその支援のあり方について、私なりの視点で丁寧にまとめました。

記事の概要:介護者のこころに生じる「構造的な苦しみ」

家族を介護する人の心情は、決して一言で言い表せるほど単純なものではありません 。そこには「大切にしたい」という愛情と、「逃げ出したい」という葛藤が、矛盾しながらも同時に存在しています

今回の寄稿では、以下の3つのキーワードを軸に、介護者の内的世界を紐解いています。

1.「あいまいな喪失」と「両価性」

  • あいまいな喪失:身体的には存在しているが、以前のその人とは変わってしまい、心理的には不在であるという「別れのないさよなら」の状態です

    両価性(アンビバレンス):優しくありたい自分と、苛立ちを向けてしまう自分。この正反対の感情が同時に存在することで、介護者は強い自己否定に苦しむことがあります

  • これらは個人の性格や覚悟の問題ではなく、介護という状況が生み出す「構造的な負荷」なのです

 

2. 「聞く」と「話す」を分ける実践

対人援助において重要なのは、介護者が安心して揺らぎを語れる場をつくることです 専門職としての分析や解釈をあえて挟まず、相手が話し切るまでその場に留まり続ける「聞く」の実践 支援者自身の内側に生じた「わからなさ」や「揺らぎ」を、暫定的なものとしてそっと差し出す「話す」のあり方 こうしたプロセスを通じて、介護者は自分自身の思いや限界に触れていくことができます

3. 「介入」という概念の再考

これまでの支援は、問題を特定し解決策を提示する「介入」が主流でした 。しかし、断定的な提案は、ときに介護者の語りを奪い、孤立を深めてしまいます トム・アンデルセンの言葉を借りれば、正解を提示するのではなく、「一緒に考え続ける関係をつくること」こそが、今求められている支援の姿だと考えています

執筆を終えて

介護を「家族の問題」として閉じ込めるのではなく、一人の生活者が揺れ動きながら適応しようとしている姿として理解すること 。その出発点に立つためのヒントを、この原稿に込めました。

『こころの科学』5月号、ぜひお手にとってご覧いただければ幸いです。

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